ボルボ V60は、高い安全性と洗練されたスカンジナビアンデザインが魅力的なステーションワゴンです。
しかし、日本市場では販売台数が伸び悩んでおり、「売れてない」と言われることがあります。
なぜボルボ V60は売れていないのでしょうか?
その理由と隠された魅力について、詳しく探っていきましょう。
この記事では、ボルボ V60を購入した後の後悔の理由や、「買ってはいけない車種なのか」という疑問に答えていきます。
また、V60の中古車がなぜ安いのか、新車購入時の値引き交渉のコツ、2023年モデルの進化についても解説します。
オーナーの不満の声やお買い得な中古車の選び方、さらには旧型モデルの魅力まで、幅広い視点からV60を分析していきます。
ボルボ V60のモデルチェンジの歴史や新車価格の推移にも触れながら、この車の本当の価値を明らかにしていきます。
V60の購入を検討している方はもちろん、ボルボ車に興味がある方にとっても、有益な情報満載でお届けします。
- ボルボ V60が売れてない理由と魅力的な特徴
- V60の中古車価格が安い理由と選び方のポイント
- 2023年モデルの進化と新車購入時の値引き交渉術
- V60のモデルチェンジの歴史と新車価格の推移分析
ボルボ V60が売れてない理由と魅力を探
ボルボ V60は、スウェーデンの高級車メーカー・ボルボが販売するミドルサイズのステーションワゴンです。
洗練されたデザインと高い安全性能を備えた魅力的な車種ですが、一方で市場での売れ行きは必ずしも好調とは言えません。
一体なぜ、V60は売れていないのでしょうか。
その理由と魅力について探っていきましょう。
ボルボ V60の購入後に感じた後悔の理由
ボルボ V60を購入したユーザーの中には、購入後に後悔する声もあります。
その理由の一つが、維持費の高さです。
ボルボは高級車ブランドであるため、部品代やメンテナンス費用が他のブランドと比べて高くなる傾向にあります。
特に、エンジンやトランスミッションの修理となると、数十万円の出費を覚悟しなければなりません。
また、V60は先進的な電子制御システムを多数搭載していますが、これらのシステムの不具合を訴える声も少なくありません。
例えば、インフォテインメントシステムの動作が遅い、あるいはフリーズしてしまうといったトラブルが報告されています。
これらの問題を解決するには、ディーラーでの点検や修理が必要となり、さらなる出費につながります。
加えて、V60の燃費の悪さを指摘する声もあります。
2023年現在、V60のラインナップには2L直4ガソリンターボエンジンを搭載したマイルドハイブリッドモデルと、プラグインハイブリッドモデルがありますが、いずれもカタログ燃費よりも実燃費が悪いというクチコミが多く見られます。
特に都市部での走行では、頻繁な発進停止によって燃費が大幅に低下するようです。
このように、高級車ならではの維持費の高さや、先進システムのトラブル、想定外の燃費の悪さなどが、V60購入後の後悔につながっているようです。
購入前に、これらの点を十分に理解し、自身のライフスタイルや予算に合うかどうかを見極めることが重要だと言えるでしょう。
ボルボ V60は買ってはいけない車種なのか
一部のユーザーから後悔の声が聞かれるボルボ V60ですが、では本当に買ってはいけない車種なのでしょうか。
結論からいうと、一概にそうとは言えません。
V60にはデメリットだけでなく、大きな魅力も存在するからです。
まず、V60は北欧デザインを象徴するようなスタイリッシュなエクステリアが特徴です。
シャープなラインと絶妙なプロポーションが生み出す洗練された佇まいは、他のライバル車にはない独特の存在感を放っています。
また、シンプルでありながら上質な素材を用いたインテリアも、V60の大きな魅力の一つと言えるでしょう。
安全面でも、V60は高い評価を得ています。
ボルボは古くから安全性能に定評のあるブランドですが、V60にもその思想が受け継がれています。
歩行者検知機能付きの衝突回避・被害軽減ブレーキシステム「City Safety」をはじめ、車線維持支援機能や全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロールなど、先進の安全装備が全車に標準で装備されています。
加えて、V60はスポーティな走行性能も備えています。
精緻なサスペンションセッティングとコーナリング時のフラットな姿勢制御により、ドライバーの意図に忠実に応える俊敏なハンドリングを実現。
パワートレーンにおいても、2L直4ガソリンターボエンジンと電動モーターのスムーズな協調動作により、力強い加速と滑らかな走行フィーリングを両立しています。
もちろん、前述の通り維持費の高さなどのデメリットは存在します。
しかし、V60が持つデザイン性や安全性能、ドライビングの楽しさなどを考慮すれば、一概に買ってはいけない車種とは言えないでしょう。
自身の予算やライフスタイルとすり合わせた上で、V60の魅力を見極めることが肝要だと言えます。
ボルボ V60の中古車価格がなぜ安いのか
新車価格が600万円から900万円台とプレミアムなボルボ V60ですが、中古車市場では比較的安価で取引されているケースが目立ちます。
2023年6月時点で、中古のV60の相場は38万円から736万円まで開きがありますが、10年落ち前後の初代モデルであれば、100万円前後で購入できることも珍しくありません。
なぜV60の中古車価格は安いのでしょうか。
一つの理由は、ボルボのブランドイメージにあります。
ボルボは安全性や快適性に優れた高級車ブランドではありますが、ドイツ勢のBMWやメルセデス・ベンツ、アウディほどの知名度や憧れは持ち合わせていません。
そのため、新車で購入する際のブランド価値が相対的に低く、結果として中古車市場での価格も抑えられる傾向にあるのです。
また、V60の販売台数の少なさも、中古車価格を下げる要因になっています。
日本で販売されるボルボ車は、SUVモデルのXC60やXC40の人気が高く、セダンやステーションワゴンの需要は限定的です。
V60も例外ではなく、毎月の販売台数は数十台程度。
市場に出回る中古車の絶対数が少ないため、需要と供給のバランスから価格が安くなりやすい状況にあります。
さらに、前述の通りV60のメンテナンスコストの高さや、先進装備の不具合リスクを懸念するユーザーが一定数存在することも、中古車価格を押し下げる要因の一つです。
「高級車の割に維持費がかかる」というイメージから、中古車としてのV60を敬遠する向きもあるのです。
ただし、V60の中古車を安く買えるからと言って、品質に不安があるわけではありません。
ボルボ車は基本的に耐久性に優れた高品質な車種であり、適切なメンテナンスを施せば10年以上の長期間にわたって乗り続けることができます。
状態の良い中古車を吟味し、長く付き合える一台を見つけることが賢明だと言えるでしょう。
ボルボ V60の新車購入時の値引き交渉
新車のボルボ V60を購入する際、気になるのが値引き交渉です。
ボルボはプレミアムブランドということもあり、値引きの余地は限定的だと考えるユーザーも少なくありません。
しかし実際には、ディーラーによっては数十万円規模の値引きに応じるケースもあるようです。
価格.comのユーザーレビューによると、V60の新車を購入する際の値引き額は0円から55万円まで幅があります。
多くのケースで20万円から30万円程度の値引きが実現しているようですが、中には50万円を超える大幅な値引きを獲得したユーザーもいるようです。
値引き交渉を有利に進めるためには、複数のディーラーから見積もりを取ることが重要です。
同じ車種でも、ディーラーによって提示額に差があるケースは珍しくありません。
競合見積もりを提示することで、値引き額のかさ上げを狙うことができるでしょう。
また、V60の値引き交渉においては、オプション価格にも注目が必要です。
ボルボ車は、高額なオプションが数多く設定されています。
これらのオプションを単品で購入するよりも、パッケージでまとめて付けた方が割安になるケースが多いため、ディーラーとよく相談して最適な組み合わせを選ぶことが肝要です。
価格.comのデータでは、V60のオプションで最大40万円の値引きを獲得したユーザーもいるとのこと。
本体価格だけでなく、オプション価格も粘り強く交渉することが大切だと言えます。
さらに、下取り車の価格も値引き交渉の重要なファクターです。
ディーラーによっては、下取り車の価格を高く設定する代わりに、新車の値引き額を抑えるケースがあります。
そのため、下取り車の相場をあらかじめ調べておき、適正な価格を主張することが重要。
下取り額が不当に安いと感じたら、他のディーラーに下取り査定を依頼するのも一つの手です。
V60を少しでも安く購入するには、値引き交渉の駆け引きが欠かせません。
お目当てのV60の販売状況を見極めつつ、粘り強く交渉することが肝要だと言えるでしょう。
進化を遂げたボルボ V60の2023年モデル
ボルボ V60は、2018年のフルモデルチェンジを経て、2023年モデルも着実な進化を遂げています。
特に、パワートレーンの電動化が大きな注目ポイントです。
2023年モデルのV60には、B4とB5の2種類のマイルドハイブリッドと、リチャージT6およびT8の2種類のプラグインハイブリッドが用意されています。
B4とB5は、2L直4ガソリンターボエンジンに48Vのモーター・ジェネレーターを組み合わせたマイルドハイブリッドシステムを搭載。
この電動化されたパワートレーンにより、燃費の向上と力強い走りを高次元で両立しています。
WLTCモード燃費はB4が15.4km/L、B5が13.7km/Lを達成しています。
一方のプラグインハイブリッドモデルは、エンジンとモーターを組み合わせて最大340psものシステム出力を発生。
EV航続距離は90km以上に達し、普段の通勤はほぼ電気自動車としての走行が可能です。
家庭用電源からの充電にも対応しており、ガソリン代の節約や環境負荷の低減に大きく貢献します。
また、2023年モデルのV60には、先進の安全運転支援システムも数多く搭載されています。
全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロールをはじめ、車線維持支援機能やパイロットアシストなど、半自動運転にも近い高度な運転支援を提供。
歩行者や自転車、大型動物の検知機能も備えた衝突回避・被害軽減ブレーキシステム「City Safety」も全グレードに標準装備されており、事故の未然防止に貢献します。
さらに、Google Apps&Servicesを搭載した新世代インフォテインメントシステムも、2023年モデルから全グレードに導入されました。
ユーザーは「OK Google」と話しかけるだけで、目的地設定やメディア再生、車両設定の変更など、さまざまな操作をボイスコントロールで行うことができます。
直感的な操作性と高度な機能を兼ね備えたシステムにより、利便性が大きく向上しています。
このように、V60の2023年モデルは、電動化されたパワートレーンや先進の安全運転支援システム、利便性の高いインフォテインメントシステムなど、さまざまな面で進化を遂げています。
高い安全性とプレミアム感を維持しつつ、時代に合わせて着実にアップデートが施されている点は高く評価できるでしょう。
ボルボ V60オーナーの不満の声
ボルボ V60は魅力的な車種である一方、オーナーから寄せられる不満の声も少なからず存在します。
その代表例の一つが、燃費の悪さです。
2023年モデルでは、マイルドハイブリッドやプラグインハイブリッドの導入により燃費の改善が図られていますが、それ以前のモデルでは実燃費の悪さに不満を感じるオーナーが少なくありませんでした。
特に、都市部での走行では10km/L以下になることも珍しくなかったようです。
また、ボルボ車特有のトラブルも、V60オーナーを悩ませる要因の一つです。
例えば、エンジンオイルの異常消費やオイル漏れ、ターボの不具合、電子制御系統のトラブルなどが報告されています。
修理となると高額の出費を強いられることも多く、長期的な維持費の高さに不安を覚えるオーナーは少なくありません。
加えて、車内の静粛性の低さを指摘する声も見受けられます。
V60は高級車を謳っているだけに、より高い静粛性を求めるユーザーが多いのですが、実際には風切り音やロードノイズが気になるというのです。
2023年モデルでは、吸音材の最適化などによって改善が図られていますが、それでも完全に解消されたとは言い切れないようです。
また、後席の居住性の低さを不満に感じるオーナーもいます。
V60はミドルサイズのステーションワゴンですが、後席の足元空間は決して広くはありません。
身長180cm以上の乗員が乗ると、窮屈さを感じるケースもあるようです。
ファミリーユースを想定する場合、この点は注意が必要だと言えます。
さらに、ディーラーの少なさと整備技術力への不安も、V60オーナーの不満点として挙げられます。
ボルボのディーラーネットワークは、国内に約120店舗と決して多くはありません。
そのため、何かトラブルがあった際に、すぐに駆け込めるディーラーが近くにない可能性があります。
また、ボルボ車の整備経験が浅いメカニックも少なくないため、適切な修理対応を受けられるかどうか不安を感じるオーナーもいるのです。
このように、V60にはさまざまな不満点が存在します。
しかし、これらの問題点の多くは、ボルボ車全般に共通するものでもあります。
燃費の悪さやメンテナンスコストの高さ、静粛性の低さなどは、V60に限らず多くのボルボ車で指摘される傾向にあるのです。
V60の購入を検討する際は、こうしたボルボ車特有の課題を理解した上で、総合的に判断することが肝要だと言えるでしょう。
お買い得な中古のボルボ V60の選び方
前述の通り、ボルボ V60の中古車は比較的安価で手に入れることができます。
では、数ある中古のV60の中から、どのような基準で選ぶのがよいのでしょうか。
まず重視したいのが、ワンオーナー車や禁煙車、ディーラー使用車などの良質な車歴を持つ個体です。
V60は高級車だけに、丁寧に扱われてきた車両を選ぶことが重要。
オークションなどの不特定多数の所有者を経た個体や、走行距離の多いレンタカー落ちなどは避けた方が無難だと言えます。
また、V60の中古車選びでは、ボディカラーにも注目が必要です。
一般的に人気が高いのは、ブラックやホワイト、シルバーといった定番カラー。
逆に、レッドやブルーといった原色系のカラーは、市場での需要が限定的。
将来の売却を見据えるなら、人気色を選ぶのが賢明だと言えるでしょう。
年式と走行距離のバランスも重要です。
V60は2011年に登場した車種ですが、2018年のフルモデルチェンジを境に、前期型と後期型で仕様が大きく異なります。
前期型は、年式の割に走行距離の多い個体が目立つ傾向にあるため、注意が必要。
できれば、2018年以降の後期型で、年式の割に走行距離の少ない個体を選ぶことをおすすめします。
装備面では、安全運転支援システムの有無が重要なポイントです。
特に、衝突回避・軽減ブレーキシステムの「City Safety」は、V60の魅力の一つ。
中古車選びの際は、このシステムが装備されているかどうかを確認しておきたいところです。
また、本革シートやパノラマサンルーフなどの快適装備は、中古車の場合オプションで装着されていることが多いので、注意が必要。
装備の有無で価格が大きく変わることがあるため、優先順位を決めて吟味することが大切だと言えます。
エンジンやミッションの状態も見落とせません。
V60のエンジンは、基本的に高い信頼性を誇っていますが、オイル漏れなどのトラブルも皆無ではありません。
試乗の際は、エンジンルームをチェックし、オイル漏れの痕跡がないかどうか確認を。
また、T6エンジンを搭載したグレードでは、オイル下がりが起こりやすい傾向にあるので、注意が必要です。
ミッションに関しては、2014年以前のモデルに搭載されていた6速ATに不具合が多発した経緯があります。
シフトショックやオイル漏れなどのトラブルが報告されているため、この時期のモデルを選ぶ際は慎重に状態をチェックしたいところ。
逆に、2018年以降のモデルに搭載されている8速ATは、信頼性が大幅に向上しているので、より安心して選ぶことができると言えます。
このようにV60の中古車選びにおいては、車歴や年式、装備、エンジンなど、さまざまな観点からアプローチすることが肝要です。
価格の安さに惹かれるあまり、状態の悪い個体を選んでしまっては本末転倒。
気に入った1台を見つけたら、ディーラーでしっかりと点検・整備を行ってもらうことを忘れずに。
納車後のトラブルを未然に防ぐことが、末永くV60とのカーライフを楽しむ秘訣だと言えるでしょう。
実はお得かもしれないボルボ V60の旧型モデル
現行の2代目V60は、走行性能や快適性、安全性のいずれもが大きく向上した魅力的なモデルです。
しかし、中には1代目のV60に惹かれるユーザーも少なくありません。
なぜなら、初代V60は意外とお買い得な存在だからです。
初代のV60は、2011年から2018年まで販売されていたモデルです。
欧州のFord傘下にあった時代のボルボが開発した車種で、現行モデルほどの先進性はありませんが、それでもボルボらしい上質感とスタイリッシュさを兼ね備えたモデルです。
初代V60の中古車価格は、2018年以降の現行モデルと比べるとかなり安価。
車両状態にもよりますが、2012年式あたりの個体であれば、100万円前後で購入できることも珍しくありません。
年式の割に装備も充実しており、本革シートやキセノンヘッドライト、パワーテールゲートなどが標準装備されているグレードも少なくありません。
初代V60は燃費面でも優秀です。
最も人気の高いD4モデルは、2L直4ディーゼルターボエンジンを搭載し、JC08モード燃費は18.6km/Lに達します。
ガソリン車のT4グレードでも、同13.6km/Lと優秀な数値を誇ります。
いずれも現行のV60より高い燃費性能を発揮しており、維持費の面でメリットがあると言えるでしょう。
さらに初代V60は、アフターパーツの種類が豊富なことでも知られています。
純正パーツはもちろん、サードパーティー製のパーツも数多く流通しているため、ドレスアップを楽しむこともできます。
エアロパーツやアルミホイール、車高調など、自分好みにカスタマイズを施すのも1代目V60の楽しみ方の一つだと言えるでしょう。
一方で、初代V60にはいくつかの注意点もあります。
特に2014年式以前のモデルでは、6速ATの不具合が多発する傾向にあるため、中古車選びの際は慎重な点検が必要です。
また、初代V60のインテリアは、プラスチック感の強い作りになっており、質感面では現行モデルに及びません。
シート形状についても、初代のものはサイドサポートが弱いため、コーナリング時に体が振られやすい傾向にあります。
とはいえ、初代V60は決して旧式のボルボというわけではありません。
2014年のマイナーチェンジでは、最新の安全運転支援システムやセンサスコネクトのインフォテインメントシステムを搭載するなど、大幅な進化を遂げています。
最終モデルの2017年式なら、City Safetyによる衝突回避・被害軽減ブレーキは標準装備。
LEDヘッドライトやアダプティブクルーズコントロールなど、現行モデルの先進装備の多くを搭載しているのです。
総じて初代V60は、決して最新鋭のモデルではないものの、まだまだ現役で通用する実力派のモデルだと言えます。
購入予算が限られる中で、ボルボのプレミアム性を味わいたいというユーザーにとって、初代V60の中古車は非常に魅力的な選択肢になるでしょう。
状態のいい個体を吟味し、適切なメンテナンスを施せば、長く安心して付き合える一台になること間違いなしです。
ボルボ V60が売れてない現状と今後の展望
高い安全性と洗練されたスウェーデンデザインが魅力のボルボ V60。
しかし日本市場においては、なかなか販売台数が伸び悩んでいるのが現状です。
なぜV60は売れないのか、そしてこの状況を打開するための展望とは何か。
ここではV60の販売動向を詳しく分析していきます。
ボルボ V60のモデルチェンジの歴史と変遷
V60の日本での販売不振を考える上で、まずはそのモデルチェンジの歴史を振り返ってみましょう。
V60は2011年に初代モデルが登場し、当初はスポーティなスタイリングと高い走行性能で注目を集めました。
「スポーツワゴン」を謳うだけあって、先代の「V70」よりもシャープなデザインと俊敏なハンドリングが特徴的でした。
ところが初代V60は、期待されたほどの販売数を伸ばすことができません。
発売初年度こそ2,000台近い販売を記録しましたが、以降は毎年1,000台前後で推移。
ライバルであるBMW 3シリーズツーリングやメルセデス・ベンツCクラスステーションワゴンと比べると、かなり見劣りのする数字と言わざるを得ません。
この販売不振の背景には、やはりボルボブランドの低い認知度があったと指摘されています。
初代V60が投入された2010年代前半は、ボルボはまだ日本市場での存在感が薄く、BMWやメルセデス・ベンツのようなブランドイメージを確立できていませんでした。
高い基本性能を誇りながらも、「ボルボらしさ」が十分に訴求できていなかったのです。
その後、V60は2014年にマイナーチェンジを実施。
フロントマスクのデザインを一新し、インテリアの質感を向上させるなどの改良が施されました。
しかし、肝心の販売数は大きく改善せず。
むしろマイナーチェンジ以降は、年間販売台数が1,000台を割り込むこともあるなど、苦戦が続きました。
そして2018年、ついにV60は2代目へとフルモデルチェンジを果たします。
新世代のプラットフォームを採用し、エクステリア・インテリアデザインを一新。
先進の安全運転支援システムや48Vマイルドハイブリッドのパワートレーンなど、ハイテク装備も大幅に進化しました。
この2代目V60の登場によって、ようやく日本市場でも販売数が持ち直しつつあります。
モデルチェンジ初年度の2019年には、1,912台を販売。
2020年も1,615台と、近年では高い水準を維持しています。
しかし、そんな2代目V60にも、まだ課題は残されています。
代表的なのが、PHEVモデルの投入の遅れです。
ボルボは2019年、全車種のラインナップにPHEVを設定すると宣言していましたが、日本市場のV60に「リチャージ」の名を冠したPHEVモデルが設定されたのは2020年の10月のこと。
本国に比べて約1年の遅れを取ったことになります。
加えて、2代目V60のエントリーグレードは「B4」と呼ばれる48Vマイルドハイブリッドシステム搭載車のみで、ガソリン車の設定がありません。
このことも、日本の消費者にとってV60の選択肢が限られている印象を与えているのかもしれません。
とはいえ、V60の2代目モデルは間違いなく魅力的な一台に仕上がっています。
先進の安全装備はもちろん、洗練されたスカンジナビアンデザインや上質な乗り心地など、プレミアムステーションワゴンとしての完成度は非常に高いと言えます。
課題はむしろ、その魅力をいかに日本市場に訴求していくかという点にあると言えるでしょう。
ボルボ V60の新車価格の推移と分析
新車価格の設定もまた、V60の販売不振に影響を与えている要因の一つかもしれません。
初代V60は、発売当初のベースグレード「2.0」の車両本体価格が399万円。
トップグレードの「T6 R-DESIGN」にいたっては783万円という、かなり高額な設定でした。
同じミドルクラスのステーションワゴンでも、ライバルのBMW 3シリーズツーリングやアウディA4アバントと比べると、100万円近く高い印象を与えていたのです。
もちろん、それだけの価格に見合う装備や品質を備えていたのは事実です。
特にT6エンジンを搭載したモデルは、最高出力304psを誇る圧倒的なパワーが魅力でした。
しかし、当時のボルボブランドでは、その価格の妥当性を十分に説明できなかったのかもしれません。
2代目V60でも、残念ながらこの傾向は変わっていません。
2021年6月時点での新車価格は、「B4モメンタム」が499万円、「B5インスクリプション」が624万円。
PHEVの「リチャージ」に至っては、769万円からとなっています。
これだけの価格を見ると、やはり一般的なファミリー層には手の届きにくい存在と言わざるを得ないでしょう。
もちろん、V60の価格設定には明確な理由があります。
それは、ボルボが「ラグジュアリーブランド」へと向かっている最中だからです。
現在のボルボは、かつての「安全性の高い大衆車」というイメージからの脱却を図っており、プレミアムブランドとしての地位を確立しつつあります。
V60の高い価格設定は、そのブランド戦略の表れと言えるのです。
ただ、日本市場においては、まだまだボルボのプレミアム性が浸透していないのが現状です。
V60の本来の魅力やクオリティを、価格に見合うだけ訴求できているとは言い難いのが実情なのです。
今後V60がより多くの支持を集めるためには、その価値をより分かりやすく伝えていく努力が求められると言えるでしょう。
具体的には、V60の安全装備の充実ぶりや、北欧デザインの上質感、走行性能の高さなどを、より積極的にアピールしていく必要があります。
また、ディーラーの接客品質を高め、ショールームでの商品説明を充実させることも重要です。
価格分の価値を実感してもらうことで、V60の新車価格に対する抵抗感を和らげることができるはずです。
加えて、今後は複数のグレード展開を検討することも有効かもしれません。
現状V60のラインナップは、クリーンディーゼルを廃止したことで選択肢が限られています。
ガソリンエンジンを搭載したエントリーグレードを設定するなど、より幅広い層に訴求できるモデル構成が求められるのではないでしょうか。
V60の新車価格は、確かに決して安くはありません。
しかしそれは、このクルマが目指すプレミアム性の表れでもあるのです。
その本質的な価値をいかに伝えていけるか。
これこそがV60の販売数を伸ばすための重要な鍵になりそうです。
まとめ:ボルボV60の魅力と販売不振の要因について
- ボルボV60は高い安全性と洗練されたデザインが魅力
- 日本市場での販売台数は伸び悩んでいる
- 維持費の高さや燃費の悪さが購入後の後悔理由に
- 先進的な電子制御システムの不具合も指摘されている
- 2023年モデルは電動化パワートレーンを採用
- 中古車価格が比較的安いのはブランドイメージが要因
- 新車購入時の値引き交渉では20〜30万円程度が多い
- オプション価格の交渉も重要なポイント
- 2代目V60は2018年にフルモデルチェンジを実施
- 新車価格は500万円前後からと高額設定
- ディーラーネットワークの少なさも課題の一つ
- 総合的に判断し、ライフスタイルに合うか見極めが必要