ボルボ V90は、洗練されたデザインと高い安全性能を誇る北欧の高級車です。
しかし、その魅力的な外観の裏には、いくつかの欠点が隠れています。
この記事では、ボルボ V90の欠点について、購入前に知っておくべき5つのポイントを詳しく解説します。
V60との違いや維持費、人気色、故障リスク、クロスカントリーモデルの特徴、エアサスの問題点など、様々な角度からV90を徹底的に分析します。
また、クロスカントリーの燃費や中古車選びのコツ、馬力の違いについても触れ、V90クロスカントリーのかっこいいデザインの秘密に迫ります。
この記事を読めば、ボルボ V90の魅力と欠点を総合的に理解し、賢明な購入判断を下すための情報が得られるでしょう。
高級車を検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
- ボルボ V90の欠点と維持費の実態
- V90クロスカントリーの特徴と燃費性能
- V90の故障リスクとエアサスペンションの問題点
- 中古V90選びのポイントと人気カラー
ボルボ V90の高級感と快適性、その欠点とは
ボルボの最上級モデルであるV90は、セダンのS90とワゴンのV90、そしてクロスオーバーのV90クロスカントリーの3つのボディタイプがラインナップされています。
いずれも洗練されたデザインと高い快適性を兼ね備えた魅力的なモデルですが、一方で欠点も指摘されています。
ここではV90の特徴と課題について詳しく見ていきましょう。
V90とV60の違いを比較
V90はボルボのフラッグシップモデルで、ミドルクラスのV60よりもひとまわり大きなサイズが特徴です。
全長は4,940mm、全幅は1,890mm、全高は1,475mmとなっており、V60の全長4,635mm、全幅1,865mm、全高1,480mmを上回ります。
このサイズ差は車内空間の広さに直結しており、特にリアシートの居住性はV90のほうが優れています。
V60でも十分な広さがありますが、V90ならより快適に過ごすことができるでしょう。
一方、街中での取り回しはV60のほうが楽だと言えます。
また、V90のほうが上級グレードの設定が充実しており、より高級感のある内外装を選ぶことができます。
例えば本革シートはV60でもオプション設定されていますが、V90のインスクリプションではナッパレザーが標準装備。
ボルボのフラッグシップらしい質感を味わえます。
価格面では、V60が399万円~599万円なのに対し、V90は714万円~1,014万円(クロスカントリーは744万円~904万円)と、V60を大きく上回ります。
予算に余裕があり、広い室内空間と上質な装備を求めるならV90がおすすめです。
V90の維持費はどれくらいかかる?
ボルボV90は、国産のミドルクラスミニバンと比べると維持費が高めになる傾向があります。
まず燃料費ですが、V90に搭載されているエンジンはすべて無鉛プレミアムガソリン指定。
レギュラーガソリンより1リットルあたり10~15円ほど高いので、その分ランニングコストが上がります。
ただし、クロスカントリーに設定されていたディーゼルエンジンは軽油を使用するため、ガソリン車より燃料代を20円ほど安く抑えられました。
次に自動車税。
V90は排気量が2.0リッターで車両重量が2トン以下のモデルがほとんどなので、自動車税は国産のミドルクラスミニバンとほぼ同じ、年間36,000円程度です。
ただしプラグインハイブリッドモデルは減税措置により、自動車税が新車登録の翌年は9,000円、2年目以降は18,000円になります。
任意保険料については、ボルボ車は一般的に国産ミニバンより割高になる傾向が見られます。
V90の場合、3つの料率区分のうち「対物賠償」は国産車と同等ですが、「車両保険」は最上位クラスに位置付けられています。
参考までに、損保会社大手3社のホームページで見積もりを取ったところ、東京都在住の40歳男性、20等級、ノンフリートの条件で、年間10万円程度の保険料が必要でした。
メンテナンス費用は、3年間または6万kmまでのサービスプログラム「ボルボ・サービス・パスポートⅡ」の適用により、新車から3年目の初回車検までは基本的な点検・消耗品交換を無料で受けられます。
ただし3年目の法定12ヶ月点検費用は有料で、3万円~4万円ほどかかります。
各費目を合計すると、ディーゼル車なら月々7万円前後、ガソリン車なら8万円前後の維持費が目安となりそうです。
クリスタルホワイトパールが人気の理由
ボルボV90の人気カラーといえば、クリスタルホワイトパールとオニキスブラックメタリックの2色が代表的です。
中でもクリスタルホワイトパールは昼夜を問わず上品な色合いと美しい輝きを放ち、V90の洗練されたボディラインを引き立てます。
ボディカラーにホワイトを選ぶ理由としては、「汚れが目立ちにくい」「夏場の車内温度上昇を抑えられる」といった実用面に加え、高級車の代名詞的な存在であるという背景があります。
ボルボに限らず欧州高級車の多くで純白のボディカラーが用意され、日本でも人気が高いのはそのためです。
特にV90のようなフラッグシップモデルでは、クリスタルホワイトパールを選択することで車格をさらに高められます。
上質な雰囲気と清涼感が漂うボディカラーは、街中でも注目を集めることでしょう。
ただし白色は人気が高い反面、注文が集中するため納期が長くなる傾向があります。
新車で購入する際は受注状況を見極める必要がありそうです。
また中古車市場でもすぐに売約してしまうことが多いため、狙っている個体を見つけたらスピード勝負になるかもしれません。
V90でよくある故障トラブルとは
ボルボV90は全体的に高い品質と信頼性を誇っていますが、いくつかのパーツに経年劣化による不具合が生じやすい傾向があります。
まず多いのがエアコンコンプレッサーの故障です。
エアコン効きが悪くなったり異音がしたりする症状が現れることが多く、放置すると最悪の場合はコンプレッサーがロックしてしまいます。
コンプレッサー単体の交換だけでなく、場合によってはコンデンサーや配管の洗浄なども必要になり、トータルで20~30万円規模の修理になることも。
夏場は特に注意が必要です。
次に多いのがオルタネーター(発電機)の不具合。
こちらも異音や充電不良といった症状から故障が見つかることが多い部品で、交換には20万円前後の費用がかかるのが一般的です。
ディーゼル車の場合はDPF(排出ガス微粒子捕集フィルター)の目詰まりも要注意。
点検と清掃を定期的に行う必要があります。
ラジエーターからの水漏れも起こりやすいトラブルの一つ。
V90は経年劣化で突然水漏れが発生することがあり、しかも中古パーツの流通量が少ないため、新品に交換するとなると高額の修理費用が発生します。
エアサスペンションを装着しているモデルでは、エアサスユニットの劣化による故障も考えられます。
乗り心地の低下や車高の狂いが生じた場合は要注意。
最悪の場合はエアサスユニットの交換が必要で、片側で20万円以上の費用になることも。
ボルボは「サービスプロバイダー」という公認の専門工場のネットワークがあり、純正パーツでのメンテナンスを割安な費用で受けられます。
また内外装の消耗品など、比較的安価なアフターパーツを扱う専門店もあるので、賢く活用したいところです。
ボルボユーザー同士の情報交換の場も参考になるでしょう。
V90クロスカントリーの魅力と違い
V90クロスカントリーは、V90をベースにオフロード走行を想定した専用パーツを装着したクロスオーバーモデルです。
V90との違いは、ボディ下回りのプロテクターやサイドシルモールディング、専用の大径アルミホイールなど、SUVテイストを強めた装備が目を引くところ。
アウトドアシーンでの使い勝手を高めるため、全高は通常のV90より70mm高められ、最低地上高は210mmに。
これによりオフロードでの障害物乗り越え性能が向上しています。
また専用のオフロードモードを備え、ヒルディセントコントロール(下り坂自動制御)機能も搭載。
傾斜地での走行をアシストします。
見た目の迫力もさることながら、クロスカントリーの本領はその積載性の高さ。
ラゲッジルームの容量はV90もクラストップレベルですが、クロスカントリーなら全高が高い分、背の高い荷物もラクに載せられます。
またルーフレールが標準装備なので、ルーフボックスやサイクルキャリアの装着にも対応。
趣味の道具を詰め込んで、週末に郊外へ繰り出す──そんなアクティブなライフスタイルにはうってつけの一台と言えるでしょう。
ただしクロスカントリーには、オフロード性能を上げるための専用サスペンションが採用されているため、V90と比べて乗り心地はやや硬めです。
またオフロードパーツの装着により車重が増加。
燃費性能への影響も避けられません。
使用目的に合わせて選択したいところです。
エアサスペンションの装着がメリットとデメリット
ボルボV90には、電子制御式エアサスペンションを装着したグレードが存在します。
エアサスペンションはショックアブソーバーの減衰力と車高を電子制御することで、運転モードや荷重状況に合わせて最適な乗り心地を提供するのが特徴。
また路面状況や速度、荷重に応じて車高を自動で変化させる機能も備えています。
そのため非装着車に比べて乗り心地が格段に向上。
長距離ドライブの疲労軽減に大きな効果が期待できます。
またコーナリング時のボディロールが抑えられ、動的な走行性能の向上にもつながっています。
車高を最大20mm下げることで、高速走行時の空気抵抗を減らす効果も。
ただしデメリットとして、故障リスクが高いことが挙げられます。
エアサスユニットには経年劣化するゴム製部品が使われており、ヘタリによる減衰力低下や車高調整機能の不良といったトラブルが避けられません。
エアサスユニットは右左合わせて20万円程度で、交換すると非常に高額。
しかもV90の場合は世界的な需要過多により新品のエアサスユニットの入手が困難と言われています。
もう一つのデメリットは、メンテナンスにかかるコスト。
エアバッグには窒素ガスを補充する必要がありますし、各部の点検や調整といった専用の作業が必要となります。
そのようなリスクを承知の上で、より上質な乗り心地と走行性能を手に入れたいなら、エアサスペンション装着車も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
ただし中古車選びにあたっては、オーナー履歴や修理歴をしっかり確認することが重要です。
ボルボ V90の魅力的な装備と欠点のバランス
V90の特徴は、北欧ブランドならではの上質でシンプルなデザインと、先進の運転支援システムを採用した高い安全性能にあります。
一方で輸入車特有のランニングコストの高さは悩みの種。
ここではV90の主要装備を振り返りつつ、購入後に待ち受ける課題についても考えてみましょう。
V90クロスカントリーの燃費は良い?
V90クロスカントリーは、FF(前輪駆動)のV90よりも重量があり、ターボよりも効率の劣るスーパーチャージャーを搭載しているため、一般的にはV90よりも燃費は低下します。
カタログ値を見ると、クロスカントリーB5 AWDのWLTCモード燃費は11.6km/L。
同じエンジンを積むV90 B5の場合は12.2km/Lと、やはりV90のほうが上回っています。
しかし同じクロスカントリーと言っても、搭載されているパワートレーンによって燃費の良し悪しが変わります。
輸入当初はガソリンモデルのT5とディーゼルのD4が設定され、T5は12.4~13.1km/L、D4は16.2km/L(いずれもJC08モード値)と、ディーゼルのほうが3割近く燃費性能が高い結果でした。
残念ながら現行モデルにディーゼルの設定はありませんが、その代わりにプラグインハイブリッドとなるT8ツインエンジンが登場しています。
プラグインハイブリッドは、モーターのみで走るEV走行と、モーターとエンジンを併用するHV走行を使い分けることで、クラストップレベルの低燃費を実現。
カタログ値では、T8 AWDのWLTCモード燃費は14.5km/Lに達しています。
ただしプラグインハイブリッドを選択した場合、充電のための環境整備が必要となります。
200V電源を備えた外部給電器の設置が理想的ですが、工事費を含めて20~30万円程度の初期費用が発生します。
日常的に確実に充電できる環境がない場合、せっかくのEV走行性能を生かしきれません。
導入にあたってはライフスタイルに合わせた選択が大切と言えるでしょう。
お買い得な中古V90の選び方
ボルボV90は新車価格が700万円を超える高級車クラスの車両のため、同じグレードの新車と中古車とでは、価格に大きな開きがあるのが特徴です。
V90が日本導入されたのは2017年7月と比較的最近なので、中古車として出回る年式は2018年〜2022年式が中心。
2023年7月時点のグーネットカー情報によると、走行距離3万km以下、車両本体価格300万円台後半〜400万円台前半という物件が多数見られます。
新車価格の半額以下で狙える点は魅力と言えるでしょう。
ただし、V90は改良が重ねられているため、同じグレードであっても年式によって細かな違いがあります。
例えば2020年10月のマイナーチェンジで、全グレードに48Vマイルドハイブリッドシステムを採用。
2021年9月以降生産分からはGoogle Androidベースの新しいインフォテインメントシステムを搭載しています。
総合的な装備充実度で言えば、2021年9月以降の新しい年式を選ぶのがおすすめです。
ただし年式が新しいほど価格は上がる傾向にあり、同じ2021年式でも走行距離が多い個体なら1割以上安く購入できることも。
目安としては2020年〜2021年式で、予算と相談しながら装備と走行距離のバランスを取るのが良さそうです。
また、V90にはエアサスペンションやヘッドアップディスプレイなどの高額オプションが設定されています。
そうしたオプションの有無で中古車の価格差は10〜20万円ほど開くので、優先したい装備は何かを事前に決めておくと良いでしょう。
中古車選びで特に重要なのが、ヒストリーの確認です。
ボルボ車は故障に対する心配が根強くあるだけに、修復歴の有無は必ずチェックしたいところ。
ボルボディーラーの下取り車両や、ボルボ認定中古車制度に乗っている「VOLVO SELEKT」の車両なら、メンテナンス状態への安心感が高くなります。
V90の最高出力は何馬力?
ボルボV90に搭載されるエンジンとモーター、そしてそれぞれの組み合わせによる最高出力は、グレードによってさまざまに異なります。
まず、V90の主力グレードとなるB5は、2リッター直列4気筒直噴ターボエンジンと48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせたパワートレーン。
エンジン単体の最高出力は184kW(250PS)/5400-5700rpm、最大トルクは350Nm(35.7kgm)/1800-4800rpmですが、マイルドハイブリッドの加勢により、システム全体の最高出力は220PS、最大トルクは420Nmに達します。
次に、V90のパフォーマンスグレードであるB6 AWDについて見ていきましょう。
B6エンジンは基本構成こそB5と同じですが、ターボチャージャーに加えて機械式のスーパーチャージャーを装着することで、大幅な出力向上を果たしています。
最高出力は220kW(300PS)/5400rpm、最大トルクは420Nm(42.8kgm)/2100-4800rpm。
0-100km/h加速は6.1秒まで短縮され、濃厚な加速感が楽しめます。
そしてV90の最強グレードとなるのが、T8ツインエンジンを搭載するプラグインハイブリッドモデル。
B6エンジンをフロントに配置し、リアにはモーターを組み合わせた4WDシステムとなります。
システム全体の最高出力は317PS、最大トルクは400Nm以上。
EVモードでの最大トルクは240Nmに達し、アクセル操作に対する反応の良さはV90の中で随一です。
このようにV90は、グレード選択によって大きく性格の異なるパワートレーンを選ぶことができます。
燃費性能を重視しつつ、日常使いで必要十分なパフォーマンスを発揮できるB5。
より俊敏で力強い走りを楽しみたい人にはB6 AWDがおすすめ。
そして環境性能とダイナミック性能を高次元で両立したいというニーズには、T8ツインエンジンが最適解と言えるでしょう。
ワイルドでかっこいいV90クロスカントリーのデザイン
V90クロスカントリーは、エレガントなV90のボディに精悍なSUVテイストを加えた、アドベンチャー色の強いスタイリングが特徴です。
正面から見ると、ボルボ伝統の逆台形型グリルをV90よりもやや大型化。
メッシュパターンにも立体感のあるデザインを採用し、ワイルドな印象を強調しています。
バンパー下部には大型のスキッドプレートを装着。
アンダーガードを思わせるタフな佇まいを演出しています。
サイドビューでは、フェンダーアーチ周りのプロテクターが目を引きます。
ブラックのプラスチックパーツをあしらうことで、オフロード志向の強さをアピール。
ドアサイドのモールディングにもSUVらしいデザインのパーツが用いられています。
足元には専用の5スポークアルミホイールを装着し、大径タイヤとの組み合わせでダイナミックな足まわりを構成しています。
リアビューでは、V90譲りの美しいテールランプデザインを踏襲しつつ、バンパー下部にフロント同様のスキッドプレートを装着。
リアバンパーステップも設定され、使い勝手の良さもアピールしています。
全体的にシンプルながらもタフでワイルドなイメージを感じさせるデザインですが、それでいて北欧らしい洗練された雰囲気も失っていません。
ボルボが「洗練と冒険」をコンセプトに掲げる理由が、このスタイリングから伝わってくるようです。
外装色は、人気のクリスタルホワイトパールに加え、ブラックストーンやマッセルブルーなどがラインナップ。
シックな色合いの中にアクセントカラーを散りばめ、大人の遊び心を感じさせます。
クロスオーバーSUV人気が高まる昨今、V90クロスカントリーのデザインは国産モデルにはない新鮮さと独自性を放っています。
SUVのタフさとステーションワゴンの上品さを併せ持つスタイリングは、アウトドア志向の強い日本の消費者の心をつかむことでしょう。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
まとめ:ボルボV90の魅力と欠点、購入前の注意点について
- V90はボルボのフラッグシップモデルで高級感と快適性が特徴
- V60と比べてサイズが大きく、リアシートの居住性に優れる
- 維持費は国産ミニバンより高めで、月7〜8万円程度が目安
- クリスタルホワイトパールが人気色で上品な輝きを放つ
- エアコンコンプレッサーやオルタネーターの故障に注意が必要
- クロスカントリーはオフロード性能を高めた派生モデル
- エアサスペンションは乗り心地向上の反面、故障リスクも高い
- クロスカントリーの燃費はV90より劣るが、PHEVは高燃費
- 中古車選びでは年式や装備、メンテナンス状態の確認が重要
- B5エンジンは220PS、B6 AWDは300PSの出力を誇る
- T8ツインエンジンPHEVは317PSの高出力と低燃費を両立
- V90クロスカントリーはSUVテイストを加えた精悍なデザイン